この話を書くかとても迷ったのですが、インド生活のありのままを残しておこうと思い、だいぶ前の話ですが思い出しつつ書こうと思います。
血が出る系のショッキングな話なので、苦手な方は読まないでください…!
ある日の朝、休日だったので目覚ましをかけずにいたのですが、外から聞こえる祝詞?呪文?のような声で目が覚めました。
複数人が同時に何かを唱えているようでした。
何をしているのだろうと窓から外を覗くと、大人子供合わせて20人ほどが集まっていました。大きなタープテントが貼られていて、椅子やテーブルなどが見えました。
この日はインドの祝日だったので、「何かヒンドゥー教の行事をやっているのかな」と思いました。インドに詳しい夫は仕事で別地方に行っていたので、答え合わせもできず、二度寝しようかなと思っていた時。
男性が犬のような生き物を2匹、首についた縄を引っ張りながら連れてきました。
私はまだこの時、頭の中お花畑で、飼っているワンちゃんも一緒にご飯食べるんだな〜とちょっと微笑ましい気持ちでいました。でもそれと同時に、「野良犬が多いインドで、わざわざ首輪をつけて、リードで引っ張ってくる飼い主の姿は珍しいな」とも思いました。
もうちょっと観察してみようと様子を見ていると、犬だと思った生き物は小ヤギでした。

犬じゃなくて小ヤギ、と気づいた時も私はまだピンときていませんでした。
ちょっと様子が変だなと思ったのは、その小ヤギを男性2人が押さえつけ始めた時です。1人が後ろ足2本を、1人が首の縄を引っ張り、小ヤギが逃げないようにしていました。
そして、また1人の男性が50センチはありそうな刃物を持ってやってきました。
この時点でなんとなく、どうなるか予想がついてしまいました。でも「まさかこんな自分の目の前でそんなことがあるのか?いや今は令和だし住宅地の道の真ん中だしないよね?」とひたすらそうじゃない可能性を祈っていました。
私の祈りも空しく、男性が大きく刃物を振りかぶりました。私はもう恐ろしくて見ていられませんでした。窓の方から何か鈍い音が聞こえたような気がしましたが、怖すぎて見れませんでした。
整理すると、この日のヒンドゥー教のお祝いのために、小ヤギの生贄を捧げた…ということだと思います。私は、まさか自分の住んでいる家の真ん前で、そんなことが行われるとは思いませんでした。生贄と聞くと、むかし人里離れた集落でやってたくらいのイメージだったのですが…。
いったん動悸を落ち着かせた後、恐る恐る窓の外を見てみると、地面には血が広がっていました。参加者たちが、頭部を切り落とされた小ヤギの体を横たえて何かしているようでしたが、わかりませんでした。あまりよく見たくなかったのもあります。
目の前で同胞を殺されたと分かったのか、もう1匹の小ヤギは先ほどより激しく抵抗していました。私はまた怖くなり、もう見るのをやめました。
この後閲覧注意の写真があります。見たくない方はここを押してください。まとめに飛びます

考えたこと
心を落ち着かせるのにしばらくかかりました。改めて、すごい場所に来てしまったなと。
本当にこのままインドで暮らしていけるのか。これが日常の近所の人と、顔を合わせた時笑顔を作れるのか。決定的な文化の違いを見せられて、今後の生活が恐ろしくなりました。
この朝の出来事は、私にとって、とてもショッキングな出来事でした。でもよくよく考えてみると、私は鶏も豚も牛も食べるので、そのための殺生はいつでもどこでも行われているんだよな…と思い至りました。
その瞬間を見たことがなかっただけで、生き物をいただくためには必要なことなんだなと。
じゃあなぜあの時、少し嫌悪感を感じたのか。考えた結果、その瞬間を見せ物のように、お祭りの一つのイベントとしてやっていたのが、そのヤギを軽く扱ってるように思えて嫌だったんじゃないか思いました。
私はヒンドゥー教に詳しくないので、ここに書いたことはただ私が感じた印象だけになってしまいます。もしかしたら、生贄となるヤギはヤギにとっても光栄な役目だったのかもしれませんし…(そう思わないと可哀想すぎて)。
ここに恐ろしかった気持ちを全部吐き出せたので、少し心が軽くなりました。
重い話を最後まで読んでいただきありがとうございました。